
月間フューネラルビジネスに掲載されました!
- ■2025/10/20 月間フューネラルビジネスに掲載されました!
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2023年9月号の「月間フューネラルビジネス」様に掲載していただきました。
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「生き残る葬儀社」になるための式場と
ライブシアター兼ねる多目的ホール開設2023年4月、政令指定都市移行および区政施行から20周年を迎えたさいたま市。
その東部に位置し、市内10区のうち最も大きな面積をもつのが岩槻区だ。人口11万2,449人(23年7月1日推計)、年間死亡数1,359人(2021年、 総務省)のマーケットに5つの葬祭会館(編集部調べ)が位置する。
その岩槻区を拠点に葬祭事業を展開するのが、さいたまそうぎ社連盟 ㈲愛翔葬祭(社長関根信行氏)である。
創業の地・岩槻で自社式場の開設を決意
同社は、もともと葬儀社に勤務していた関根社長が01年に独立し起業したもの。
創業以降は自社会館をもたず、一貫して埼玉県内の公民館や寺院、公営斎場の併設式場を利用して施行してきた。
なお、「さいたまそうぎ社連盟」とは自社名と異なる屋号による宣伝活動を行なうため、関根社長が創業から間もなくして立ち上げたものである。
設立当初から同社が本部となっており、現在では同社のほか2社の加盟がある。
16年には、岩槻区内で事務所を移転した。
「自社会館ではないにしても、事前相談などで足を運ぶお客様にとって入りやすく、居心地のよい事務所にしたかった」という関根社長の想いによるもので、新たな事務所は区の交通拠点である東武野田線岩槻駅から車で約7分、旧事務所から北東へ約 650m離れたロードサイドに位置する。
旧事務所は道幅の狭い住宅地にあったため、付近に住む地元住民 以外からの周知が得られにくいという課題があった。
そこで、移転先には交通量の多い生活道路の交差点に面した立地を選定。結果的に創業以来の拠点から大きく動くことなく、より広範囲の区民から同社の名が知られることとなった。
事務所移転後も変わらず公営斎場での施行を中心としてきたが、数年前に関根社長が友人と交わした、何気ない会話が大きな転機につながったという。
「ある友人と食事をした際、自分の葬式ではボン・ジョヴィの『It’s My Life』をかけながら拍手で送り出してほしい、と言われたのです。そのときは冗談半分だったのでしょうが、その発想はおもしろいな、と意表をつかれました。すでに音楽葬などと呼ばれる葬儀スタイルも広まりつつありますが、必ずしも厳粛な雰囲気にするのではなく、いわゆるフェスのような盛り上げ方ができたら、と考えるようになりました」(関根社長)
時期を同じくして、同社に多大な影響をもたらしたコロナ禍への対応にも頭を悩ませていた。
感染拡大に伴って直葬や一日葬での施行依頼がふえ、単価の下落が避けられないなかで、関根社長は「ほかの事業者ではできない、自社ならではのまったく新しい葬儀」の必要性を感じていたのだ。
自社会館をもたない同社では、以前は生花祭壇にこだわった演出で他社との差別化を図っていたが、そのままでは「まったく新しい葬儀」の実現には限界がある。
「祭壇だけでなく、式場全体の空間を演出したい」と想いもあったことから、次第に自社会館の必要性が高まっていった。
そもそも事務所移転の背後には、願わくはのちに式場を併設させることを目指した布石という意味合いもあったことから、事務所内での式場開設が現実的な目標となったのである。
「ライブもできる葬儀式場 」唯一無二の多目的ホールへ
式場の整備にあたり、キーワードとなったのは「映像」だ。
関根社長には、変わりゆく葬送文化を間近でみているなかで、
「ひょっとすると、今後は祭壇すらいらなくなっていくのではないか」との予感があった。折しも、コロナ禍を受けてオンラインによる葬儀の生配信を開始したものの、祭壇の定点映像ではどうしても映像が平坦になり、動きを出したいと思案していたところだった。そこで、祭壇装飾ではなく映像をメインに据えることで、リアルでの会葬者、オンラインの視聴者ともに飽きさせない葬儀演出を実現させようと考えたのである。
「時代の流れを汲んで、安直に
『家族葬会館』をつくったとしても、長続きはしないでしょう。弊社は小さな葬儀社ですから、大手の事業者と同じ戦い方をしても淘汰されてしまいます。他社にはない着眼点が必要でした」(関根社長)
真っ先に導入を検討したのは、壁や立体物をスクリーンに見立てて映像を投影するプロジェクションマッピング。しかし、光や音による優れた演出効果が期待できる反面、室内を暗くする必要があるために会葬者が転倒するおそれがあること。そもそも立体物への投影によって光と陰影を際だたせることを特徴としているため、かえって祭壇装飾が制限されてしまうことなどといった課題が浮かび、やむを得ず断念。代わって画面が明るく、繊細な色彩表現が可能なLEDビジョン(LEDを搭載した大型ディスプレイ)の導入を決定した。
さらに、式場の整備にあたっては事業再構築補助金を活用することから、関根社長には「新規事業」の腹案もあったという。それが、ライブシアター「+810」(以下、プラスハート)だ。なお、「+」は新しい事業であることと来場者にとって
「プラス」となる体験を提供したいとの想いを、「810」は無意識に目に入る数字を指すエンジェルナンバーを意味するものである。
過去にバンド活動の経験がある関根社長には、いまでも音楽業界に多くの知人・友人がいる。その式場の整備にあたり、キーワードとなったのは「映像」だ。
関根社長には、変わりゆく葬送文化を間近でみているなかで、「ひょっとすると、今後は祭壇すらいらなくなっていくのではないか」との予感があった。
折しも、コロナ禍を受けてオンラインによる葬儀の生配信を開始したものの、祭壇の定点映像ではどうしても映像が平坦になり、動きを出したいと思案していたところだった。
そこで、祭壇装飾ではなく映像をメインに据えることで、リアルでの会葬者、オンラインの視聴者ともに飽きさせない葬儀演出を実現させようと考えたのである。
「時代の流れを汲んで、安直に『家族葬会館』をつくったとしても、長続きはしないでしょう。弊社は小さな葬儀社ですから、大手の事業者と同じ戦い方をしても淘汰されてしまいます。他社にはない着眼点が必要でした」(関根社長)
真っ先に導入を検討したのは、壁や立体物をスクリーンに見立てて映像を投影するプロジェクションマッピング。しかし、光や音による優れた演出効果が期待できる反面、室内を暗くする必要があるために会葬者が転倒するおそれがあること。
特徴としているため、かえって祭壇装飾が制限されてしまうことなどといった課題が浮かび、やむを得ず断念。代わって画面が明るく、繊細な色彩表現が可能なLEDビジョン(LEDを搭載した大型ディスプレイ)の導入を決定した。
さらに、式場の整備にあたっては事業再構築補助金を活用することから、関根社長には「新規事業」の腹案もあったという。それが、ライブシアター「+810」(以下、プラスハート)だ。なお、「+」は新しい事業であることと来場者にとって「プラス」となる体験を提供したいとの想いを、「810」は無意識に目に入る数字を指すエンジェルナンバーを意味するものである。
過去にバンド活動の経験がある関根社長には、いまでも音楽業界に多くの知人・友人がいる。
そのなかで、コロナ禍によってライブやコンサートの開催や収容人数に大きな制限がかかり、業界が盛り下がっていることに大きな危機感を抱いていた。生業である葬祭業はもちろんのこと、慣れ親しんだ音楽業界が立ち直る一助になればと、葬儀式場とライブシアターとを兼ねる「多目的ホール」として準備を進めていったのである。
最新機器の導入で 活用の幅を大幅に拡大
多目的ホールは、22年6月にプレオープンし、11月末に本格稼動を開始した。ホール奥の1段上がったスペースにはコの字型に大型のLEDビジョンを設置し、あわせて専門のライブハウスと同等のスペックにこだわった照明・音響機器を完備している。
ここで、同ホールのA面(家族葬ホール「旅立ち」)およびB面(プラスハート)、それぞれの機能や特徴をみていこう。
まずは、家族葬ホール「旅立ち」だ。基本的に会葬者数に応じたレイアウトを行なっているというが、座席は30席まで設置可能。ビジョンには故人の遺影写真だけでなく、その背景にメモリアルムービーや想い出写真などを自由に流すことができる。
「静止画か動画であればなんでも映せますので、たとえば『本棚に囲まれた空間にしたい』『海岸で葬儀を行なっているような風景にしたい』といった要望にもお応えできます。以前、遠方の自宅に戻れないまま亡くなった方のご葬儀を行なったとき、自宅の風景を投影したところ遺族の方からたいへん好評をいただきました」(関根社長)ビジョンには3面それぞれに異なる静止画(動画)を映すことも、 3面を一体利用して1つの静止画(動画)を映すこともできる。天井のムービングライトによって、雰囲気に応じた調光も可能であることから、空間演出の幅はまさしく無限に広がったといえよう。
一方、プラスハートでは主に不定期による配信ライブを開催している。出演者は関根社長の人脈を通じてオファーするほか、地域の青少年への文化活動を援助すべく、区内に位置する岩槻高校の軽音楽部にホールを提供したこともあるという。ライブの様子は YouTubeチャンネルにおいてリアルタイム、アーカイブともに無料配信しており、日時を問わないウェビナー視聴が可能だ。
ライブシアターとしての最大の特徴は、オペレーターがリモートでカメラを操作できるシステムを導入したこと。ライブの際に現場での人員を減らすことができるほか、これを利用して、出演者の特定メンバーをフォーカスして見たいという視聴者に対してカメラの操作権をチケットとして販売することも構想しているようだ。開業から半年時点では配信ライブのみの開催となっているが、将来的にはプラスハートでのミュージックビデオ撮影やお笑いライブの開催、地元・岩槻でのスポーツイベントや花火大会などのパブリックビューイングも検討しているといい、活用の場もさらに広げていく考えだ。
葬儀社によるライブで「追悼フェス」構想も
多目的ホール開業後、「旅立ち」での施行は月7~10件と、早くも全体の過半数を占めるようになった。関根社長によれば、LEDビジョンによって「オーダーメイド」での演出が可能となったことが、高い満足度の維持につながっているという。事前相談のために訪れた人が気軽にホールを見学できることも、遺族・会葬者にとどまらない周知拡大に一役買っているようだ。
関根社長は今後も葬儀のオンラ
イン配信には力を入れていくとし、「テレビ局に勤める知人から、プロの視点による映像の見せ方などを学びました。ホールに揃った最新機材を活かして、『葬儀の中継』にはない、臨場感のある映像と音響を配信したいと考えています」と語る。
プラスハートに関しては、葬祭事業とライブシアター事業とを掛け合わせた「追悼フェス」を考案
中だ。まだ構想段階ではあるが「、葬儀」と「ライブ」の相乗効果には大きな期待をもっているという。
「葬儀社と二足の草鞋を履いているライブシアター経営者は、私のほかにはまだいないのではないかと思います。葬儀社だからこそのホスピタリティを活かした、プラスハートでしかできないライブをプロデュースしたい」(関根社長)
葬儀式場でありライブシアターであるという同社の多目的ホールは、いまだ類を見ない画期的な取組みとも思える。しかし、同社にしてみれば、5年後、10年後も息の長い葬儀社となるために差別化の先手を打ったにすぎないのだ。準備の進められている「追悼フェス」を含め、葬儀とライブによってどのようなシナジーがもたらされるのか、同社の今後に期待したい。
※この記事は、月間フューネラル 2023年9月号に掲載された内容を基にしています。
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